現場から戻ってから、夜に日報をまとめる。同じ請求金額を、Excel の管理表と会計ソフトに2回入力する。現場が変わるたびに、作業員名簿へ氏名や資格を写し直す。

建設会社の事務には、こうした「決まった手順のくり返し」が多くあります。この記事では、そのうち RPA に任せやすい作業と、始め方・費用の考え方を、中小の建設会社向けにまとめました。

結論 建設業の RPA は「毎日・毎月くり返すパソコン作業」から始めるのが近道です
  • 何が楽になるか:作業日報や出面の集計、請求書・注文書の転記、安全書類の作成など、決まった手順でくり返すパソコン作業です。現場の作業そのものではなく、事務所や現場事務の「入力・転記・集計」が対象です。
  • 期間と費用:1つの業務で試すなら、期間は1〜3週間程度です。Windows 11 に最初から入っている Power Automate なら、ツール代をかけずに始められる場合があります。
  • 向いている会社:同じ作業を毎日・毎月くり返している、Excel や会計ソフトへの入力に時間を取られている、事務の担当者が少なく、休むと仕事が止まる会社です。

建設会社で RPA に任せやすい業務の一覧

建設業の就業者は、55歳以上が36.7%、29歳以下が11.7%です(令和6年。全産業はそれぞれ32.4%・16.9%)。2024年4月からは建設業にも時間外労働の上限規制が適用され、原則として月45時間・年360時間が上限になりました。少ない人数で事務を回す工夫は、どの建設会社にとっても欠かせなくなっています。

出典:国土交通省「改正建設業法『令和7年12月施行分』説明会」資料(令和8年1月。総務省「労働力調査」を基に国土交通省が算出)、厚生労働省「建設業『時間外労働の上限規制』のポイント」(2024年3月)

RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)とは、人がパソコンで行っている決まった操作を、ソフトのロボットが代わりに行う仕組みです。建設会社の事務では、次のような作業が任せやすいと考えられます。

業務RPA がやること楽になる度合い始めやすさ
作業日報の集計現場ごとの日報(Excel・入力フォーム)を集め、1つの集計表にまとめる◎◎
出面(出勤)・勤怠の集計出面表やタイムカードの記録を集計し、給与ソフトに入れる形に整える◎○
請求書・注文書の転記請求書の金額・取引先を、会計ソフトや管理表に入力する(紙の場合は AI OCR と組み合わせる)◎○
安全書類の作成・更新作業員名簿などの書類に、社員・資格の台帳から情報を写す○△
見積・積算データの転記積算ソフトの結果を、見積書の様式や管理表に写す○○
工程表の更新と連絡工程表の変更点を一覧にし、関係者にメールで知らせる○○
写真・ファイルの整理工事写真や書類を、工事名・日付ごとのフォルダに分け、ファイル名をそろえる○◎
公開されている入札情報の確認発注機関のサイトを決まった時間に確認し、新しい案件を一覧にする○△
※楽になる度合い・始めやすさは目安です。今の業務のやり方や、使っているソフトによって変わります。入札情報の確認は、各サイトの利用規約で自動での閲覧が認められているかを先に確かめる必要があります。

どれも「手順が決まっていて、くり返しが多い」作業です。反対に、現場ごとに判断が変わる作業や、手順が毎回違う作業は RPA には向きません。

自社のどの業務が当てはまるか分からない場合は、建設業のRPA導入支援で、業務の整理からお手伝いしています。

業務別の Before/After

建設事務の作業日報・請求書・安全書類を RPA で自動化した場合の Before/After 図

業務の一覧表のうち、特に負担の大きい3つの作業について、RPA を入れる前と後を比べます。

作業日報の集計

Before

各現場から届く日報を事務所で1件ずつ開き、数字を集計表に手で写しています。月末は集計と見直しに半日以上かかり、写し間違いがあると原因を探すのにも時間がかかります。

After

日報のファイルを決まったフォルダに保存すると、RPA が中身を読み取って集計表を更新します。担当者は、できあがった集計表の数字を確かめるだけで済むようになります。

請求書・注文書の転記

Before

紙や PDF の請求書を見ながら、会計ソフトと支払いの管理表の2か所に、同じ金額と取引先を入力しています。締め日の前は入力作業が集中し、残業の原因になっています。

After

紙の請求書は AI OCR で文字を読み取り、その結果を RPA が会計ソフトと管理表に入力します。担当者は読み取り結果に間違いがないかを確かめるだけになり、二重入力の手間を減らすことが期待できます。紙の書類の読み取りについては、AI OCR の記事で詳しく紹介しています。

安全書類の作成

Before

新しい現場に入るたびに、作業員名簿へ氏名・資格・健康診断の受診日などを1人ずつ写しています。台帳が更新されていても名簿に反映し忘れることがあり、提出前の確認に気を使います。

After

社員・資格の台帳から必要な項目を RPA が名簿の様式に写します。担当者は内容を確認してから提出するので、写し間違いや反映漏れを防ぎやすくなります。

RPA・Excelマクロ・AI・業務システムの使い分け

業務の自動化には、RPA のほかにもいくつかのやり方があります。RPA だけで全部を自動化しようとせず、作業に合わせて使い分けると、手間も費用も抑えやすくなります。

やり方得意なこと苦手なこと建設会社での使いどころ
Excel マクロExcel の中だけで完結する集計・加工他のソフトやサイトをまたぐ作業日報ファイルの集計、書式の統一
RPA複数のソフト・サイトをまたいだ「決まった操作」判断が必要な作業、画面がよく変わるソフト会計ソフト・給与ソフトへの転記、ファイルの整理
AI(AI OCR・生成AI)紙や手書きの読み取り、文章の下書き・要約正確さを100%求められる作業(人の確認が必要)紙の請求書・日報の読み取り、報告書の下書き
業務システム(施工管理・勤怠管理など)入力のしくみそのものを整える導入や移行に時間と費用がかかる紙・Excel の運用をやめて、情報を1か所にまとめたいとき
Excelマクロ・RPA・AI・業務システムの使い分けを、作業の範囲と判断の要る度合いで整理した図

実際には、いくつかを組み合わせることが多くなります。たとえば「紙の請求書を AI OCR で読み取る → RPA が会計ソフトに入力する → 担当者が確認する」という形です。読み取りは AI、決まった入力は RPA、最後の判断は人、と役割を分けることで、無理なく自動化を進められます。

AI を使った業務の自動化については、業務自動化AI の記事や、建設業のAI活用ガイドもあわせてご覧ください。図面の管理や紙図面のデータ化を進めたい場合は、図面管理DXの記事が参考になります。

自社に RPA が向いているか、チェックリストで確かめる

次の8つのうち、当てはまるものを数えてみてください。

  • 同じパソコン作業を、毎日・毎週・毎月くり返している
  • 同じ数字を、Excel と別のソフトの2か所以上に入力している
  • 月末や締め日に、事務の担当者の残業が集中する
  • 現場から届く日報・出面の集計に時間がかかっている
  • 入力ミスや転記漏れによるやり直しが、月に何度かある
  • その作業を分かっている人が1人しかいない(休むと止まる)
  • 使っているソフトの画面や手順が、ここ1年ほど大きく変わっていない
  • Windows のパソコンで事務作業をしている
3つ以上当てはまれば、RPA で減らせる作業がある可能性が高いです。

最後の2つは、RPA の作りやすさに関わる項目です。ソフトの画面がよく変わる場合や、Mac が中心の場合は、作り方や使うツールが変わるため、事前に相談いただくのが確実です。

3つ以上当てはまった方へ

どの作業を自動化すると効果が出やすいか、今の業務の流れをお聞きして無料で整理します。
「何から手をつければいいか分からない」という段階でもご相談ください。

無料で業務を整理してもらう

期間の目安と費用の考え方

RPA は、いきなり会社全体に入れるのではなく、1つの業務で試してから広げるのが進めやすい方法です。進め方ごとの期間の目安は次のとおりです。

進め方内容期間の目安
まず1つ試す1つの業務(例:日報の集計)を自動化して、効果を確かめる1〜3週間程度
部署に広げる試した結果をもとに、事務・経理など複数の業務へ広げる1〜2か月程度
社内のしくみとつなぐ基幹システム・複数の拠点・現場の端末とつなぐ要件により異なります
※期間は目安です。業務の内容や、使っているソフト・システムによって変わります。

費用が変わるポイント

費用は、主に次の4つで変わります。

  • 自動化する業務の数と、手順の複雑さ
  • つなぐソフト・システムの数(Excel だけか、会計ソフトや基幹システムともつなぐか)
  • 有料のアカウントが要るか(決まった時刻に自動で動かす、複数の人で使う など)
  • 動き始めた後のサポートの範囲(手順が変わったときの直し、担当者への説明 など)

「まず1つ試す」段階なら、対象を1つの業務にしぼるので、費用を抑えて始めやすくなります。今のやり方をお聞きしたうえで、無料で概算をお出しします。

ツールの費用について

零壱製作では、Microsoft の Power Automate を使って自動化を進めています。パソコンの操作を自動化するデスクトップ版の Power Automate は、Windows 11 に最初から入っており、無料の Microsoft アカウントでサインインすれば使い始めることができます。ただし、決まった時刻に自動で動かす、複数の人で共有する、といった使い方には有料のアカウントが必要です。どこまでを無料の範囲で行えるかも、ご相談の際に確かめます。

補助金について

IT ツールの導入には、「デジタル化・AI導入補助金」(旧 IT導入補助金)が使える場合があります。対象になるツールや申請の時期は年度ごとに変わるため、最新の情報は事務局のサイトでご確認ください。ご相談いただければ、対象になるかどうかも一緒に確認します。

導入の流れ(5ステップ)

RPA の導入は、次の5つのステップで進めます。各ステップで、つまずきやすい点もあわせて紹介します。

STEP 01

業務の棚卸し

どの作業に、誰が、月に何時間かけているかを書き出します。

つまずきやすい点:最初から全部を対象にしないことです。くり返しが多く、手順が決まっている作業1つに絞って始めます。
STEP 02

手順の整理

今のやり方を、パソコンの画面ごとに書き出します。不要な手順はこの段階でなくしてから、自動化に進みます。

つまずきやすい点:今の手順をそのまま自動化すると、ムダな手順も一緒に残ってしまいます。
STEP 03

小さく作って試す

1つの業務で RPA を作り、1〜2週間ほど、人の作業と並べて動かします。結果が合っているかを確かめながら直していきます。

つまずきやすい点:止まったときや間違えたときに、誰が気づいてどう直すかを、この段階で決めておきます。
STEP 04

社内で使えるようにする

手順書を作り、担当者が自分で動かせるようにします。

つまずきやすい点:作った人しか分からない状態(属人化)にしないことが大切です。
STEP 05

広げる・見直す

効果を確かめてから、ほかの業務へ広げます。使っているソフトの画面が変わったときは、RPA も直します。

つまずきやすい点:ソフトの更新で RPA が止まることがあります。見直しの担当者を決めておきます。

零壱製作の進め方

零壱製作では、建設業・建機業の会社向けに、Power Automate を使った業務の自動化を支援しています。業務の整理から、RPA の作成、社内での運用の定着まで、一貫してお手伝いします。

零壱製作の RPA 導入支援の進め方(ヒアリングから運用の定着まで)

零壱製作の3つの特長

01
現場の流れを踏まえて整理します

点群データ・GNSS・IoT センサーなど、建設現場向けのシステム開発に携わってきました。現場と事務所の間でどんな書類やデータが行き来しているかを踏まえて、自動化する作業を整理します。

02
端末・通信までまとめて対応します

現場で使うパソコン・タブレットの手配や設定、通信環境(零壱SIM・零か壱Wi-Fi)の整備まで、まとめてお任せいただけます。電波が不安定な現場に向けた工夫(通信が切れても作業を続け、つながったら送り直す仕組みなど)にも対応しています。

03
栃木県から伺ってサポートします

現地での立ち会いや、導入後の困りごとの相談にも対応します。導入して終わりではなく、使い続けられる状態になるまで支援します。

例えば、こんな自動化ができます

建設会社の事務で、零壱製作がお手伝いできる自動化の例です(想定の例であり、効果は業務の内容や量によって異なります)。

例1

現場が5つほどある工務店の、作業日報の集計

作業
各現場から Excel で届く日報を、事務の担当者が毎日集計表に写している
自動化の形
日報を共有フォルダに保存すると、RPA が集計表を更新し、月末には現場別の集計を出す
変わること
担当者の作業は、集計結果の確認と、気になる数字の問い合わせだけになります
例2

土木会社の、請求書の入力

作業
協力会社から届く紙・PDF の請求書を、会計ソフトと支払い管理表の両方に入力している
自動化の形
AI OCR で読み取った内容を RPA が両方に入力し、金額が合わないものだけ担当者に知らせる
変わること
二重入力がなくなり、担当者は確認と例外の対応に時間を使えるようになります
例3

設備工事会社の、安全書類の準備

作業
現場に入る作業員が変わるたびに、作業員名簿へ資格や健康診断の受診日を写している
自動化の形
社員・資格の台帳を1か所にまとめ、現場と作業員を指定すると RPA が名簿の様式に写す
変わること
写し間違いや台帳の更新漏れを防ぎやすくなり、提出前の確認が楽になります
例4

建機を扱う会社の、点検記録の整理

作業
現場ごとに届く点検記録や写真を、機械ごとのフォルダに手で振り分けている
自動化の形
届いたファイルを RPA が機械番号・日付ごとに振り分け、ファイル名をそろえて一覧表を作る
変わること
必要な記録をすぐに探せるようになり、点検の抜けにも気づきやすくなります
建設業のRPA導入支援について、詳しくはこちら

対応できる業務や進め方、よくある質問をまとめています。

建設業のRPA導入支援を見る

よくある質問

使えます。RPA を作る部分は零壱製作が担当し、社員の方には「動かす」「結果を確かめる」ことをお願いする形にできます。操作の手順書をお渡しし、使い方の説明も行います。

パソコンの画面で操作しているソフトであれば、多くの場合は対応できます。ソフトによっては、画面を操作するよりも、データの書き出し・読み込み(CSV など)を使ったほうが安定することもあるため、ヒアリングで確かめたうえで進め方をご提案します。

止まることがあります。そのため、止まったときに知らせる仕組みや、誰が直すかを最初に決めておきます。導入後の見直しや修正もご相談いただけます。

人数の少ない会社ほど、1人の担当者が多くの事務を抱えていることが多くあります。1つの業務から小さく始めれば、費用を抑えながら、自社に合うかどうかを確かめられます。

「デジタル化・AI導入補助金」(旧 IT導入補助金)の対象になる場合があります。対象のツールや申請の時期は年度ごとに変わるため、ご相談の際に対象になるかどうかも一緒に確認します。

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日報の集計、請求書の転記、安全書類の作成など、どの作業から自動化すると効果が出やすいかを、今のやり方をお聞きして無料で整理します。
「RPA が自社に合うか分からない」「何から始めればいいか分からない」という段階でもかまいません。

建設業のRPA導入支援の詳しい内容もご覧いただけます。

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